No.9「智・徳・体」

長田高校の教育理念(校訓)は何?と聞かれたらほぼ全員が「智・徳・体」!と答えます。

 

では、この伝統はどこから生まれたのでしょうか?

もちろんこの教育理念の基礎を作られたのは近藤英也初代校長です。

兵庫縣立第三神戸中學10周年に刊行された「開門章」の4ページ

第三神戸中学校の教育精神にその記述があります。

 

 

〇健全なる人格的基礎とは(1)智能 (2)徳性 (3)身體 とが一つの全き個人的形態を成すに至るやう適當に調和統一して発達したるもののことである。我々の人格は終生を通して成長発達するもので青年時代には其基礎を築くに過ぎないものである。

〇下の三条件を具備するに至らざれば神撫教育卒業の眞の資格とはいへない。

1、學、徳、禮、三要素の調和的発達に基づける人格的形態の成立。

 

我々卒業生も身が引き締まる思いがします。

あれ?でも意味は同じであれ「智・徳・体」と簡素に表現はしていらっしゃらないようですね?

では、この「智・徳・体」はいつから定着したのでしょうか。

 

現在、長田高校の生徒数は960名です。
でも昭和40年4月にはなんと1,833名が在籍していました。

高18回生601名。高19回生651名。高20回生581名。もっとも生徒数の多かった時代です。当時教室の中は、教壇のすぐそばからうしろの壁まで、机がぎっしりと詰め込まれ、満足に黒板の字さえ読めない場所でもがまんしなければならなかったそうです。

 

押し寄せるベビーブームの波。年を追って上昇する高校進学率は必然的に大学入試の門を一段とせばめていき、受験競争は激烈となっていきます。「入試」の生み出す弊害は年々深刻になっていき、長田高校でもそれまでの教育のあり方が、そのままの形では存続できない運命にありました。マンモス化した学校組織に対するいわゆる管理体制と地域社会が学校へ求め期待するものの変化・・・もありました。

近藤英也初代校長の教育理念を記した「開門章」は、まさにこんな時代であった1960年(昭和36)の創立40周年に、第6代・岩佐修理校長により再出版され、以後毎年新入生に配布されるようになります。
長田高校としての新たな校風樹立を「神撫教育」を再認識することから始める。

岩佐校長は、健全な人格形成と職業的自覚、世界観、人生観の形成で構成される「神撫教育」の中でも、”「智徳体」の調和統一的発達は人格形成の基礎として重要である”と強調され、あとを受け継いだ第7代・植杉英之助校長も、引き続き「開門章」の研究を推進され、折あるごとに「智」「徳」「体」の調和を説かれ、わけても「徳」と「体」の面を軽んずるようなことがあってはならぬ、と警められました。大きく変革をし始めた長田高校でしたが、近藤英也初代校長の築かれた三中の教育精神・校風は、こうして引き継がれていったのです。

「智 徳 体」のモニュメントは高38回生の卒業記念品です
「開門章」は今でも長田高校の校門をくぐる新入生に贈られています。入学式を待つ新入生は春休み中にこれを読み、読後レポートを最初の課題として提出するそうですよ。

参考文献
「兵庫県立長田高等学校50周年誌」「兵庫県立長田高等学校創立90周年記念誌」

 

 

 

 

 

 

 

No.9「智・徳・体」” に対して1件のコメントがあります。

  1. 西馬 正寿 より:

    『我々の人格は終生を通して成長発達するもので青年時代には其基礎を築くに過ぎないものである。』…高校時代にその基礎が築けたかどうかは別にして…卒業後40年を経て自らの人格を弛まず磨き続けてこられたか?
    「実るほど頭を垂れる稲穂かな』という諺を常に意識しながら、少しずつでも成長し続けたいと希いこれまで過ごしてきたつもりです。(余り人に開陳するようなことではないですが)
    今更ながら、素晴らしい教育理念であると、そしてその理念の元素晴らしい学び舎に在籍させていただいたことに改めて感謝しています。

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